最近「ちょっと不便なもの」がとても好きになってきた。例えばハッキンカイロというカイロを使っている。
見た目は金属の塊感があって良い。
謎の液体ベンジン
ハッキンカイロは見た目はZippoのライターみたいに金属の容器で、中にベンジンという可燃性の液体を入れて使う。一定量のベンジンを入れたのちに白金の触媒にライターで火をつけると化学反応で発熱する、というカイロである。ライターで火をつけるのはあくまで触媒なので、一瞬赤白く光ったらすぐに消えてしまう。容器内での反応が始まると石油ストーブの燃える匂いがしてきて、10分もしないうちに徐々に暖かくなり布の袋に入れるといい温度になる。
今どき、使い捨てカイロを買えば、袋から出すだけで温かくなるし、値段も安価だし、においもない。ハッキンカイロはゴミが出ないのが利点だが、安いわけでもないし、若干匂うし、体に貼る便利さもない。これを使うために、朝の寒い時間にわざわざ金属の容器にベンジンを注いで、(たまにこぼして手と床を汚して、)ライターで火をつけないといけない。着火は一瞬でいいが、ちゃんとつけないと発火しないので、数分経って暖かくなければもう一度着火しないといけない。きわめてめんどくさい。
でもハッキンカイロは使っていて楽しい。容器に可燃性の液体を入れて火をつけると暖かくなるのが直観的で良いし、なにより「自分でいちいち準備する」工程がちょっと新鮮に感じる。メインストリームから少し外れたものが好きな性分の自分にあっていると思った。
実はこのハッキンカイロは30年以上前に亡くなった祖父の机から出てきたもので、興味本位で使ってみたら便利だった、という経緯があるので「温故知新」(故きでぬくぬく温まって、ちょっと新しいことを知る)ができた。
あとアマゾンでも売っていて、パッケージが超絶レトロなので、こういうのが好みの人ははまりそうだと思う。